【5月8日 AFP】(更新、写真追加)フランスで7日、大統領選の決選投票が行われ、中道系独立候補のエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)氏(39)が大差での勝利を確実にした。大きく二分された同国と欧州の将来にとって極めて重要な今回の選挙で、極右のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)氏(48)の激しい挑戦を振り切った形だ。マクロン氏はフランス史上最年少で大統領に就任する。

 最新の開票結果によると、得票率はマクロン氏が65%強、ルペン氏が35%弱となっている。

 マクロン氏はパリ(Paris)の陣営本部で行った演説で「たくさんの人の怒りや不安、疑いの声を聞いた」と指摘。その上で「われわれをむしばんでいる分断と全力で戦っていく」と表明した。

 親欧州連合(EU)派のマクロン氏は「欧州と欧州市民の絆を再建する」ために働くとも確約。「今夜、われわれの長い歴史の新たなページが開かれた」と述べ、「希望と信頼を取り戻す」大統領になると誓った。

 一方、ルペン氏はパリ近郊バンセンヌ(Vincennes)で支持者を前に演説し、自身が率いる政党・国民戦線(FN)にとって「歴史的で大きな結果」だったとたたえる一方、FNには大きな変革が必要だとも訴えた。マクロン氏に電話で成功を願っていると祝意を伝えたことも明らかにした。

 FNのフロリアン・フィリポ(Florian Philippot)副党首は、FNを「新たな政治勢力」にすることを目指し党名を変更する方針を示した。

 今回の選挙戦では、フランスの経済的・社会的分断、さらに国家のアイデンティティーや移民をめぐる緊張が浮き彫りになった。マクロン氏は、分裂し混乱した国を癒やすと約束していた。

 元投資銀行家で3年前には無名だったマクロン氏は欧州で最も有力な指導者の一人に躍り出た。フランスとEUに関する極めて野心的な政治・経済改革計画を掲げており、大統領就任後はその手腕が試される。

 英国のEU離脱や米国でのドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の当選を受けて、今回のフランス大統領選は今後の右派ナショナリズムの伸長を占う試金石とみられていた。反EU、反グローバリゼーションを旗印とするルペン氏が敗れたことで、とりわけEUとドイツの首脳の間に安堵(あんど)が広がりそうだ。(c)AFP/Adam PLOWRIGHT