【5月4日 AFP】陸上男子走り幅跳びの世界記録保持者であるマイク・パウエル(Mike Powell)氏が3日、2005年以前に樹立された世界記録を白紙にする計画は「侮辱」だとした上で、徹底抗戦していく構えを示した。

 欧州陸上競技連盟(European Athletics)は先日、陸上界でまん延するドーピング問題の一掃を目的として、厳格な基準を満たした世界記録のみが認可されるべきとする計画を提案。1991年8月に8メートル95を跳んだパウエル氏は、今回の計画は「無礼であり不当、そして侮辱だ」だと怒りをあらわにした。

 現在53歳のパウエル氏は、BBCラジオ5ライブ(BBC Radio Five Live)に対し「代理人には連絡した」、「疑問の余地がある記録も存在するが、私のは正真正銘のもの。人間の精神やガッツを示す一つの物語であるとともに、スポーツ史における最高の瞬間の一つだ」と語った。

「この決断により、彼らは考えもなしに本当に多くのものを破壊するだろう。結果はどうであれ、闘っていこうと思う」

 今年8月に国際陸上競技連盟(IAAF)によって検討される今回の提案では、世界記録が認可されるのは、問題となる記録が公式な国際大会で樹立され、関係する選手が「大会までの数か月間で定められた回数のドーピング検査を受けた」場合に限るとされている。

 IAAFのセバスチャン・コー(Sebastian Coe)会長は、英BBCに対し「この議論をするのは重要だ。多くの選手と時間を費やしてきたし、ここ数年間は彼らも過去の記録について私に話してきた。だから議論は歓迎する」と話した。

「議論はあるべきだし、一連の提案は(IAAFの)理事会に送られることになっている。反対の提案も楽しみにしている。われわれは、どこかの時点で始めなくてはならないと思っている」

 1991年に東京で行われた世界陸上(IAAF World Championships in Athletics)でカール・ルイス(Carl Lewis)氏と名勝負を演じたパウエル氏は、ボブ・ビーモン(Bob Beamon)氏が保持した8メートル90の世界記録を23年ぶりに更新していた。(c)AFP