【5月3日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の長女、イヴァンカ・トランプ(Ivanka Trump)氏が書いた働く女性のための自己啓発本が2日、 発売された。

 しかし、3人の子を持つ大富豪で自らは大統領補佐官を務め、大統領上級顧問のジャレッド・クシュナー(Jared Kushner)氏を夫に持つイヴァンカ氏の本について、米国の多くの庶民にはほとんど役に立たないとして専門家などから早速批判を浴びている。

 イヴァンカ氏が執筆した「Women Who Work: Rewriting the Rules for Success (働く女性たち:成功へのルールを書き換える)」は、ハードカバー版、電子版、497分のオーディオダウンロード版、CDで発売され、黒い服を着て座ったイヴァンカ氏が表紙になっている。トランプ氏が昨年の大統領選で勝利する前に書き上げたという。

 この本を書いた目的についてイヴァンカ氏は、起業や交渉、職場での影響力の最大化、「女性たちにとってより良いシステムに変える」方法など、自身が学んだ幅広いスキルを他の人たちにも実践してもらいたかったからだと述べている。

 女性や家族の平等を訴える活動を行うNPO「ナショナル・ウィメンズ・ロー・センター(NWLC)」の次期会長、ファティマ・ゴス・グレイブス(Fatima Goss Graves)氏は、米誌USニューズ・アンド・ワールド・リポート(U.S. News & World Report)への寄稿で、イヴァンカ氏の本は「働く女性たちが直面する問題について全く触れていない」と指摘。多くの女性たちにとって、この本で書かれているアドバイスはまったく参考にならないと批判した。

■倫理的な懸念も

 出版に当たりイヴァンカ氏はすでに前払い金を受け取っているが、公職にある立場を利用して利益を得ているとの批判を避けるためこの本からの前払い金以外の収益は慈善事業に寄付し、販促ツアーも続けないとしている。

 イヴァンカ氏はフェイスブック(Facebook)に「政府の倫理規定に照らして、この本は個人的なプロジェクトであることをはっきりさせておきたいと思います。私はこの本を、私の人生における別の時期に書きました」と書き込んだ。

 この本は、米国が有給休暇と安価で質の高い保育を大切にするようになればいいという、イヴァンカ氏がしばしば口にする希望で締めくくられているが、その実現のための具体的な青写真は一切提示していない。(c)AFP/Jennie MATTHEW