【5月2日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配しているイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)は1日、新たな綱領を発表した。イスラエルの破壊を掲げた1988年のハマス憲章よりもイスラエルへの対決姿勢を軟化させた内容で、国際的な立場を向上させる狙いがあるとみられる。

 新綱領は、ハマスの最高幹部で亡命中のハレド・メシャール(Khaled Meshaal)氏が、カタールの首都ドーハ(Doha)で発表した。組織内で最長任期と定められている2期目の満了を控えたメシャール氏は、近く退任する予定。

 ハマス側は、新綱領は国際社会が求めるイスラエルの存在承認には当たらないとしながらも、幾つかの重要項目で態度の軟化を公式に示した。

 これまでハマス指導部は、ヨルダン川西岸(West Bank)やガザ地区でのパレスチナ国家の樹立について、より限定的な目標を示唆してきてはいたが、憲章内での明記には至っていなかった。

 しかしハマス内部での長きにわたる議論の末にまとめられた新綱領では、1967年の第3次中東戦争(Six-Day War)以前の境界線を国境とするパレスチナ国家建国を正式に受け入れた。

 また紛争については、ユダヤ人に対する宗教戦争ではなく、パレスチナを占領するユダヤ人との戦いだと規定している。

 ただし、1988年のハマス憲章も取り下げられるわけではない。これについては一部の専門家から、ハマス内部の強硬派の支持を得るためという見方も出ている。

 イスラエルとの直接交渉の可能性について問われたメシャール氏は、「イスラエルとの直接交渉は行わないというのがわれわれの方針だ。なぜなら現在の条件や状況には、何らかの結論が導き出せると確信できる要素がないからだ」と述べた。(c)AFP