【5月2日 AFP】欧州陸上競技連盟(European Athletics)は先日、仏パリ(Paris)で理事会を開き、ドーピング問題への取り組みの一環として、現存する欧州及び世界記録を抹消して白紙の状態にする急進的な提案を打ち出した。

 欧州陸連のスヴァイン・アルネ・ハンセン(Svein Arne Hansen)会長は、今回の提案は「革新的」とした上で、陸上界のドーピング疑惑が依然として残っている状況を受け「人間が持つ能力の限界を示す記録は、われわれのスポーツにおいて素晴らしい長所の一つだが、それが誰も信じられないものであれば意味がない」と述べた。

「これが急進的な解決策であることは間違いないが、陸上を愛しているわれわれは、あまりにも長く記録が疑惑や皮肉に包まれている状況にうんざりしている」

 欧州陸連が発表した声明によると、欧州及び世界記録が認可されるのは問題となる記録が公式な国際大会で樹立され、関係する選手が「大会までの数か月間で定められた回数のドーピング検査を受けた」場合のみとされている。また、具体的な適用日については今後の課題となっているが、それまでの全記録は古い記録としてのみ残されることになるという。

 この計画は、今年8月に開かれる国際陸上競技連盟(IAAF)の理事会で推薦されることになっており、IAAFのセバスチャン・コー(Sebastian Coe)会長も歓迎の意向を示している。

 欧州陸連の会合に出席した同会長は、「良い考えだ。なぜなら、われわれが整えたドーピング検査のシステムや技術が、15年前はおろか10年前よりも強固で安全なものであることを明確に示すものになるからだ」と語った。

「アスリートや現記録保持者の中には、われわれが歴史を塗り替えようとしていると感じ、この提案に何か思うことがあるかもしれない。しかし、これは正しい方向への第一歩であり、きちんと組織的かつ計画的に行えば、このスポーツの信頼性を取り戻すことになると考えている」