【4月27日 AFP】タイで男が生後1年足らずの娘を殺害する様子をフェイスブック(Facebook)上でライブ配信し自殺した事件をめぐり、地元メディアに批判が集まっている。生々しい映像や画像を引用したのは行き過ぎだとの声がインターネットなどで上がっているほか、当局も模倣犯が出る恐れがあると神経をとがらせている。

 事件はタイ南部の観光地プーケット(Phuket)島で24日に発生。ウティサン・ウォンタライ(Wuttisan Wongtalay)容疑者が廃虚で生後11か月の娘ナタリー(Natalie)ちゃんの首をつるして殺害する様子を「フェイスブックライブ(Facebook Live)」で中継し、本人も自殺した。

 大手日刊紙少なくとも1紙が25日付紙面の1面で画像を掲載したほか、複数のテレビ局が映像の一部を放送した。

 タイの新聞では、血が写ったショッキングな写真が1面に掲載されることは珍しくないが、インターネット上では今回はやり過ぎだと非難する書き込みが相次いでいる。

「これはニュースであってホラー映画ではない。映像まで流す必要があるのか」。タイのインターネット掲示板「パンティップ(Pantip)」ではユーザーが疑問を呈している。

 一方、タイ国家放送通信委員会(News Broadcasting Council of Thailand)は、事件を扱ったニュースについて苦情が寄せられていると明らかにした上で、一部の報道は「不適切」だと批判。模倣した犯罪を誘発する恐れがあるとして、同様の事件で生々しすぎる報道を控えるようメディア各社に警告した。

 警察は、犯行の動機はウティサン容疑者の嫉妬だったとみている。交際相手のジラヌーチ・トリラート(Jiranuch Trirat)さん(22)が、新しい子どもをもうけた別の男の元に去ってしまうのではないかと不安になったと推測している。

 問題の映像は25日に削除されたが、約24時間にわたって閲覧できる状態にあったため、フェイスブックにも批判が集まった。(c)AFP