【4月23日 AFP】フランスが大統領選第1回投票日の朝を迎える前の22日、米国など西半球で在外投票が行われた。母国に極右ナショナリズムの波が押し寄せるのを止めたいと願い、一票を投じた国外在住フランス人たちもいた。

 米国、カナダ、中南米に住む大勢のフランス人には、過去数十年で最も予測不能で、深く分断された国と欧州連合(EU)の未来にとって極めて重要な選挙に投票する権利がある。

 カリブ海(Caribbean Sea)に浮かぶマルティニク(Martinique)島やグアドループ(Guadeloupe)島など多くのフランス海外県でも22日に投票が行われた。

 米首都ワシントン(Washington D.C.)では雨が降る中、フランス大使館で在外投票が行われた。アドリアン・ゴンティエ(Adrien Gontier)さんはフランス国民としての義務を果たしていると語った。

「米国で投票しなかった、あるいはひどい投票をした結果、何が起きたかご存じでしょう」とゴンティエさん。「フランスにトランプは要らない」

 米国で在外投票登録したフランス人はワシントンの1万1242人をはじめ計11万9773人。大使館によれば、2012年大統領選の第1回投票時より30%以上も増えた。

 仏首都パリ(Paris)のシャンゼリゼ(Champs Elysees)通りで今月20日に男が警官3人を殺傷する事件が起きて以来、全米の在外投票所69か所の安全対策は強化された。

 フランスでは有権者の4分の1近くがまだ誰に投票するか決めていない。世論調査によると、フランス人はテロよりも雇用や経済に関心を持っている。

 しかし、アナリストたちはシャンゼリゼ通りの事件が世論を変える可能性があると警告している。極右派のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)候補といった治安対策に強硬姿勢で臨むとみられる候補者たちに有利に働く可能性だ。

 世論調査でリードしているのは、ルペン氏と中道派のエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)候補。だが投票日の直前になって接戦になり、主要候補4人のうち誰が決選投票(5月7日)に進んでもおかしくない状況になっている。(c)AFP/Gilles CLARENNE