【4月22日 AFP】フランス大統領選は21日、第1回投票を2日後に控え、選挙運動の最終日を迎えた。選挙戦には首都パリ(Paris)のシャンゼリゼ(Champs Elysees)通りで前日に発生したイスラム過激派による警官銃撃事件が影を落とし、各候補は国をいかにして守るかについて意見を衝突させた。

 20日夜の銃撃事件については、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が同組織の支持者による犯行だと主張。フランスでは2015年以降に相次いだ襲撃事件で計239人が死亡しており、専門家らは今回の事件が選挙に影響を与える可能性を指摘している。

 事件で警官1人を射殺し、2人を負傷させた末に射殺された男は、カリム・シュルフィー(Karim Cheurfi)容疑者(39)と特定された。同容疑者の遺体のそばからは、ISを賞賛する言葉が書かれたメモが発見されている。

 今年の仏大統領選は、極右派のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)候補(48)、中道派のエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)候補(39)、保守派のフランソワ・フィヨン(Francois Fillon)候補(63)、極左派のジャンリュック・メランション(Jean-Luc Melenchon)候補(65)の4者の間の戦いとなっている。このうち、メランション氏を除く3候補は事件を受け、選挙運動最終日の集会を中止した。

 極右政党「国民戦線(FN)」党首のルペン氏は事件後すぐに、同国をイスラム過激派から守る上での最強の候補者は自分であると強調。欧州連合(EU)から自国の国境管理権を「即座に」取り戻し、テロ警戒リストに記載されている外国人全員を国外追放処分にすべきだと主張した。

 またフィヨン氏とマクロン氏も急きょテレビ会見し、国を守ると宣言。フィヨン氏から政治経験不足で大統領職に不適格と批判されているマクロン氏は、2007~12年に同国首相を務めたフィヨン氏が情報機関の職員を削減した代償を現在のフランスが支払っていると指摘した。

 世論調査会社BVAが20~21日に実施した調査によると、支持率はルペン氏とマクロン氏は23%で並び、メランション氏が19.5%、フィヨン氏が19%で続いている。

 BVAの世論調査員は「これ(銃撃事件)が誰かに利するとすれば、この問題を選挙運動中に主張し続けていたルペン氏か、政治家としての信望が厚いフィヨン氏になることは明らか」と述べている。(c)AFP/Guy JACKSON/Clare BYRNE