【5月5日 AFP】笑い声が鳴り響き、興奮と歓喜の雰囲気の中、子どもたちは竹馬に乗ったり、皿をくるくると回したり、空中ダンスを楽しんだりしている──。

 これは大都市で見られるような一流のサーカスではなく、トルコ南東部の一軒家で行われている、シリア難民の子どもたちを対象にした「サーカス教室」だ。サーカスの技を教えながら、彼らが新しい環境に適応するのを助けるための独創的な試みとなっている。

「ハー・ヤールデ・サナト(Her Yerde Sanat)」協会の同プログラムには、3歳から20歳まで約120人が参加している。協会名はトルコ語で「アートはどこにでもある」を意味する。

 シリアとの国境に近いマルディン(Mardin)県のその家からは、メソポタミア平原の美しい景色が見渡すことができる。平原が広がるシリアは、プログラムに参加する子どもたち80人にとっての故郷だ。残りの生徒らはみなトルコ人だという。

 1階では約15人の子どもたちが、天井からつるされたひもを使った空中ダンス、ジャグリング、空中ブランコを交代で行っている。小さい子たちは別の部屋でパーカッションを激しく打ち鳴らしている。

 2階ではシリア人の子どもたちにトルコ語が教えられている。彼らが一日でも早く学校に溶け込めるようにするためのレッスンだ。

 子どもたちにとってこのサーカス教室は、つらい過去を少しの間でも忘れるためのいい機会となっている。そのため、指導に当たる講師らに対しては、子どもたちに出身地に関する質問はしないよう協会側が強く求めている。