【4月21日 AFP】(更新、写真追加)フィリピンや中国など数か国が領有権を争う南シナ海(South China Sea)で、中国の沿岸警備隊による漁船への発砲があったと、フィリピンの漁民らが訴えていることが明らかになった。フィリピン当局が21日、発表した。

 フィリピン当局が明らかにした漁民らの訴えによると、先月27日に南沙諸島(英語名:スプラトリー諸島、Spratly Islands)の中国が実効支配する海域近くで発砲を受けたといい、現在当局が報告の調査を進めているという。この事案による死傷者などはなかった。

 フィリピン沿岸警備隊(PCG)は声明で、漁船が「沿岸警備隊員7人が乗った中国の高速艇から7度発砲を受けたとされている」と述べた。南沙諸島中央部に位置するユニオン堆(Union Banks)の中国側が実効支配する海域から3.7キロほど離れた沖合で漁船がいかりを下ろしたところ、武装した高速艇が接近してきたという。

 昨年半ばのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)比大統領の就任以降、フィリピンと中国は良好な関係がみられたものの、今回の事態が確認されれば、ドゥテルテ氏就任以来初の敵対的な対立事案となり得る。

 PCGとフィリピン軍は今回の事案の調査を進めており、レスティトゥート・パディージャ(Restituto Padilla)軍報道官は「(ユニオン堆は)フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内に位置している」と主張した。

 一方、同国のデルフィン・ロレンザーナ(Delfin Lorenzana)国防相は21日、フィリピンが実効支配するパグアサ島(Pag-asa Island、中国名:中業島、Thitu Island)を訪れ、南シナ海における同国の領有権を強く主張した。

 同行した記者らに対しロレンザーナ国防相は、「これはわれわれのものと考え理解している自国の領海内での、通常の視察だ」と強調した。中国は南シナ海ほぼすべての領有権を主張しており、パグアサ島もそれに含まれている。(c)AFP