西欧のファイアサラマンダー、真菌感染で絶滅の危機 研究
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■対策の効果出ない可能性
分厚い耐水性の細胞壁を持つ細胞で守られた真菌の胞子は寿命が長く、生物の体内に生息していなくても繁殖できる。
問題の真菌は土壌、水、空気などを通じて拡散する恐れがあるほか、この菌の影響を受けにくい鳥やカエルに付着して運ばれ、サラマンダーへの感染が拡大する可能性もある。
学名を略して「ブサル(Bsal)」と呼ばれるこの真菌「イモリツボカビ(学名 Batrachochytrium salamandrivorans)」が欧州大陸で最初に現れたのは2010年だった。
林業、農業、野生動物などの世界規模の貿易が、本来の生息環境ではない地域に菌が侵入する原因となっていると、科学者らは考えている。
この真菌の病原性の高さと拡大の速さを考えると、感染を封じ込めるための対策を講じても効果が出ない可能性があると、研究チームは危惧している。
論文執筆者の一人、フベイ・ステーヘン(Gwij Stegen)氏は「ワクチン接種や個体群再構築などの、動物の病気を抑制するための旧来の対策が功を奏する見込みはなく、生態系から菌が根絶される可能性は低い」と述べた。(c)AFP