■必要なのはクラブのビジョンか

 これから求められるのは、数か月後、または数年後の目標を具体的に定め、今後どういったクラブになりたいのかという方向性を確立することだ。

 2年前のレスターは残留が目標のチームだった。それが1年後にはプレミア王者となり、そして今季はマンチェスター・シティ(Manchester City)やリバプール(Liverpool FC)、FCポルト(FC Porto)、セビージャといった欧州でも名前の通った名門から白星を挙げた。その一方で、わずか2か月前には降格圏まであとわずかという状況に追い込まれた。

 クラブの今後について問われたシェークスピア監督は、「先はあまり見ていない」と答えている。

「サッカーでは、浮かれすぎてはならない。プレミアリーグで勝ち点を稼ぎ、順位を上げることに集中しないと。あまり遠くを見ている余裕はない」

「大切なのは現在の立ち位置であり、1週間後にはアーセナルと対戦だ」

 コッター氏は、この1年余りのようなジェットコースターに似た日々も悪くないが、チームはもう少し現実的な目標を定めるべきだと考えている。

「アトレティコ戦で、あるいはこの5週間から6週間で、ベストメンバーがそろったときのレスターは好チームで、残留争いをするチームではないことを選手たちもわかったはずだ」

「チームはその自信を手に来季を迎え、残留争いにだけは絶対に巻き込まれないようにするべきだ。今の選手層であれば、中位に入らなくてはならない」

 昨季の奇跡的な偉業とは、あまりにもかけ離れた目標に聞こえる言葉だ。しかし今後がどうなるにせよ、ファンも、選手も、そしてサッカー界もが一生忘れられないような旅を、レスターが送ってきたことは間違いない。(c)AFP/Tom WILLIAMS