【4月18日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)に参戦するメルセデスAMG(Mercedes AMG)のトト・ヴォルフ(Toto Wolff)チーム責任者は、今季のフェラーリ(Ferrari)の勢いを阻止するために、チームオーダーの導入を検討していると明かした。

 16日に行われた第3戦バーレーンGP(Bahrain Grand Prix 2017)決勝でフェラーリのセバスチャン・ベッテル(Sebastian Vettel)が今季2勝目を挙げたことを受け、ヴォルフ氏はこれからもメルセデスのドライバーが自由な競争をするのを許すことは難しくなり、バルテリ・ボッタス(Valtteri Bottas)に「ナンバー2」の役割を求めることになるかもしれないと語った。

 バーレーンの首都マナマ(Manama)で行われたレースで、フィンランド出身のボッタスがベッテルを追撃していたチームメートのルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)に順位を譲るように求められたオーダーは、今後も不本意ながら繰り返されることになるかもしれない。

「そのことは、まったく本意ではない」と話すヴォルフ氏は、これまでチームの慣習としてオープンな「交戦条件」を心掛けながら、昨季までの3年にわたりハミルトンと2016年の世界王者ニコ・ロズベルグ(Nico Rosberg)氏が激しい競争を繰り広げるのを容認してきた。

「ここ数年のやり方とは違うが、今や状況は変化している。だから、その意味と自分たちの現状を適切に分析していく必要がある。レースのスタート時は平等な機会を与えていくつもりだし、それが彼らへの義務だと考えている」

「今回のレースでは、あのときの状況を見てオーダーを出し、二度目のオーダーも出した。なぜなら、それがレースに勝つ唯一の可能性だと感じたからだ」

 4シーズンぶりに圧倒的優勢な立場を失っているメルセデスは、復活したフェラーリに主導権を握られ、ドライバーズ選手権とコンストラクターズのタイトル争いに踏みとどまるための厳しい戦いに直面している。

 バーレーンGPでフェラーリが積極的な戦略と戦術を展開し、オーストラリアGP(Australian Grand Prix 2017)に続いて今季2勝目を飾ったベッテルがドライバーズ選手権で一歩抜け出したことで、王者メルセデスは焦りと重々しい雰囲気に包まれている。

 片方のドライバーに優先権を与えないようにする道を模索していたメルセデスは、フェラーリが早めのピットストップで「アンダーカット」に成功したのに対して、素早い対応ができず判断も遅れてしまった。

 ドライバーを平等に扱うチーム方針を捨て去るのは好まないと話すヴォルフ氏は、ポールポジションを獲得したドライバーや、順位が高い方のマシンを優先させるという考えを否定し、「それはあまりにも厳しい」とすると、「この数年間やってきたことに反するものだ。レースがスタートする際には、平等な機会を与えることが重要だ」と強調した。

「バルテリがタイヤの問題に悩まされずに先頭を走り、ルイスが2番手につけていたら違った判断を下していただろう。しかし、2人の間にはベッテルがいて、どうしようもなかった。だからこそ、最悪の状況だったと言える」

「これまでドライバーに平等な機会を与えていたのは、それがわれわれの方針であり、われわれのレース哲学だからだ。今回のレースのようにスタートで2台がフロントローに並び、そのまま1位と2位を走っていたら、自由にレースをさせなければならない」

 優勝したベッテルは68ポイントでドライバーズ選手権のトップに浮上し、ハミルトンに61ポイントで2位、ボッタスは38ポイントで3位につけている。第4戦のロシアGP(Russian Grand Prix 2017)は、30日に決勝が行われる。(c)AFP/Tim COLLINGS