■超富裕層の心もつかむ

 この運動は、シリコンバレーのテクノロジー業界の大物たちをはじめとする超富裕層の心もつかんでいる。彼らの一部は、自動化によって雇用が奪われると社会不安がさらに高まるのではないかと恐れている。

 サバイバリスト運動の人気は多くのテレビ番組が作られていることからも分かる。例えば、ほとんど服を着ていない参加者たちがジャングルでサバイバルするリアリティー番組「THE NAKED(原題 Naked and Afraid)」や、誰が世界の終末に最も備えているか審査員が決める「プレッパーズ~世界滅亡に備える人々~(原題 Doomsday Preppers)」などだ。

「2008年以来、ポピュリスト運動が台頭した。1%(の最富裕層)はそのことをよく分かっている」と、元ヤフー(Yahoo)幹部で現在はベンチャーキャピタル企業500 Startupsのパートナーを務めるマービン・リャオ(Marvin Liao)氏は言う。「貧富の格差は拡大し、富裕層に対する怒りがある」

「金持ちなら隠れ家を持っているだろう」とリャオ氏は続けた。「カナダ、カリブ海(Caribbean Sea)の島、中南米に避難場所を準備している人たちを知っている。一部の人の間ではニュージーランドが非常に人気だ」

 SNS大手のフェイスブック(Facebook)、ツイッター(Twitter)、金融大手ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)の重役を務めたアントニオ・ガルシア・マルティネス(Antonio Garcia-Martinez)氏も裕福なサバイバリストの一人だ。ワシントン(Washington)州シアトル(Seattle)近くの島に設備が整った家を所有している。

 自身は「軽めの」サバイバリストだと言うリャオ氏は、トランプ大統領の誕生によって終末への恐怖が高まったと語る。