【4月17日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の家族は、首都ワシントン(Washington D.C.)とニューヨーク(New York)、フロリダ(Florida)州のリゾート施設「マーアーラゴ(Mar-a-Lago)」の3か所に生活拠点を持ち、ジェット機で飛び回っている印象だ。しかしトランプ一家を24時間体制で守らなければならない大統領警護隊(シークレット・サービス、US Secret Service)にとっては、体力と財政の両面で厳しい試練が続いている。

 トランプ大統領とメラニア(Melania Trump)夫人、5人の子ども、そして孫らは、複数の都市で別々に生活し、それぞれの仕事やプライベートの都合で移動する。それぞれに共通する点は、黒い窓ガラスの大型スポーツ用多目的車(SUV)の車列くらいしかない。

 言動が予測不能であることを自負するトランプ氏本人を警護することは極めて困難だ。テロ対策の専門家はAFPに対し、こうした常識破りの大統領を警護するためには強化が必要だったことを説明する。また「任務を遂行するには、定期的に休息を取り、状況認識と警戒心を常に研ぎ澄ます必要がある」と指摘した。

 一方のメラニア夫人は、ニューヨーク5番街(Fifth Avenue)にあるトランプタワー(Trump Tower)のペントハウスで、11歳の息子バロン(Barron)君との生活を続けている。シークレット・サービスは68階建てのタワー全体を対象に警護する必要があり、バロン君のために学校と自宅との間の送迎を日々行っている。

 大統領の娘イヴァンカ(Ivanka Trump)氏は、夫クシュナー(Jared Kushner)氏や子ども3人とともにワシントンに転居し、現在はホワイトハウス(White House)から約3.2キロ離れた高級住宅街カロラマ(Kalorama)の豪邸に住んでいる。24時間警護され、夫妻が仕事に向かう際にも車列で同行する。

 また、トランプ一家の不動産業を担うようになった息子のエリック(Eric Trump)氏とドン・ジュニア(Donald Trump Jr)氏が遠く離れた場所の物件に向かう際にも黒いサングラスとイヤホンを付けた屈強な護衛が同行する。娘のティファニー(Tiffany Trump)さんにも警護が付いている。

 護衛にかかるコストは膨大だ。エリック氏が1月にウルグアイに出張したときには、10万ドル(約1100万円)の費用が税金でまかなわれた。また、ドン氏とエリック氏、イヴァンカ氏が先月、スキー旅行で家族をコロラド(Colorado)州アスペン(Aspen)に連れて行った際には、100人を下らない警護要員が同行。アスペン・タイムズ(Aspen Times)によると、ゲレンデでの警護に必要なスキー用具を借りなければならず、1万2000ドル(約130万円)のレンタル料が発生したという。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は、警護隊がトランプ大統領と家族の警護にあたる要員を40%増やす必要があったことを伝えている。下院監査政府改革委員会(House Oversight and Government Reform Committee)の委員長であるジェイソン・チェイフェッツ(Jason Chaffetz)下院議員(共和党)は同紙に対し、「(警護隊は)すっかり疲れ切っている」と語った。(c)AFP/Sébastien BLANC