【4月16日 AFP】リビア沖の地中海(Mediterranean Sea)で15日、航海に適していない船で欧州を目指していた約3000人の移民がイタリア沿岸警備隊などによって救助された。協力したドイツの非政府組織(NGO)「ユーゲント・レッテト(Jugend Rettet)」が明らかにした。

 イタリア沿岸警備隊によると、この日の救助活動は35回で、うち15回は日没後も続いた。NGOは、地中海の天候が穏やかだったため、救助が非常に活発に行われたとしている。

 ユーゲント・レッテトの広報担当者パウリーネ・シュミット(Pauline Schmidt)氏はAFPに対し、救助船が乗せられる人数の限界に達しているものの、ゴムボートなどに乗った1000人近くの人が今なお救助を待っていると述べた。シュミット氏は、現場海域には主にNGOの救助船がさらに到着する予定だと述べ、「一度にこれほどの大人数に対応するのはかつてない経験」だと話した。

 前日の14日にはイタリア沿岸警備隊と5隻の民間救助船が、ゴムボート16隻と木造船3隻から、すし詰め状態になって欧州を目指していた2000人余りを救助していた。

 欧州対外国境管理協力機関(フロンテックス、Frontex)は、資金を寄付で集めたこれらの船がリビア沖を「タクシーのように」航行しているのは「有益というよりむしろ害が大きい」と非難。イタリア検察当局はこれらの船が人身売買とつながりがある可能性を指摘しているが、関係者は強く否定している。

 今年これまでにリビア沖で死亡または行方不明になっている人は666人。国際移住機関(IOM)によると昨年のリビア沖での死者・行方不明者は5000人以上で、今年は大幅に少なくなっている。(c)AFP