■都市以外に広がる見捨てられ感

 バルジー村で医師として20年間働いてきたパスカル・グライツさんは、地方部の見捨てられ感は公共サービス削減のせいだと非難した。村の多くの郵便局が閉鎖されたことを例に挙げ「昔は国と国民の間に強い絆があったのが、なくなってしまった」と語る。

 長らく社会党の地盤だった同県の県都ヌベール(Nevers)でも、住民3万7000人をみる医師など専門職の誘致に四苦八苦している。ロワール(Loire)川沿いに位置する風光明媚(めいび)なこの町の人口はこの20年で1万人以上減少。買い物客はかつてにぎやかだった中心部を捨て、郊外のスーパーやショッピングモールに足を運ぶようになっている。

 不動産業者のジェローム・コキャンさんは町を歩きながら、活気があるように見せかけるために行政が閉鎖店舗のシャッターに「偽の」ペイントを施したのだと語った。コキャンさんはフランスで地方集権が行われないことへの不満をあらわにした。

 デニス・チュリオ(Denis Thuriot)町長いわく、この地域の有権者が最も関心を持っているのは、自分たちが適切な配慮を受けることができるのかどうかということだ。

 2014年に就任した元社会党のチュリオ町長は「大都市と地方部のためには多くのことが行われているが、その中間地帯はないがしろにされていると皆、考えている」と述べた。チュリオ町長は、自分が大統領選で支持しているマクロン候補同様、投資を引きつける鍵はデジタル経済だと考えている。

 元銀行員としての知見を持ち合わせているチュリオ町長は、マクロン候補とルペン候補の一騎打ちとなることが予想される決選投票で、フランス人は極端に走ることを避けるだろうと考えている。(c)AFP/Clare BYRNE