【4月13日 AFP】(更新)国連安全保障理事会(UN Security Council)は12日、シリアで化学兵器によるとみられる攻撃が発生した問題をめぐり、欧米諸国が関与を疑っているバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権の調査協力を要求する決議案を採択したが、ロシアが拒否権を発動し廃案となった。

 ロシアが同盟関係にあるシリア政府に対する措置を阻止するため、安保理で拒否権を発動したのは、これで8回目となった。今回の決議案は米英仏3か国がまとめたもので、シリアでの化学兵器使用疑惑を非難し、化学兵器禁止機関(OPCW)の調査に対する安保理の全面的支援を表明する内容だった。

 ロシアでは同日、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が、同国を訪問したレックス・ティラーソン(Rex Tillerson)米国務長官を大統領府に迎えたが、両国は互いの信頼関係に入った深い亀裂を埋めることはできなかった。

 ティラーソン長官は記者会見で、「両国間の信頼度は低い。世界の二大核大国がこのような関係性を持っていたのではいけない」と警告した。

 ロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相は同日これに先立ち、より攻撃的な口調を示していたものの、ティラーソン長官との共同記者会見では、さらに緊密な協力が引き続き可能となる領域を強調。「ロシアは(米国との協力を)受け入れる用意があり、ありとあらゆる分野で米国との対話していく用意もある」と述べ、テロとの断固とした闘いという両国共通の方針に言及した。

 だがいずれの側も、今後の協力の具体的な道のりについては大きく触れることはなく、「より細かい問題」(ティラーソン氏)に対応していくための作業部会を設置すると述べるにとどまった。(c)AFP