【4月11日 AFP】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は11日、世界で2016年に執行された死刑に関する報告書を発表し、中国での執行件数がその他すべての国での合計を上回ったと説明した。世界的には、死刑の執行件数は減少しているという。

 同団体は、中国で同年に執行された死刑の件数について「数千」に上ると指摘。裁判所記録やニュース報道などを基に推算したと述べた。

 中国以外の国での執行件数については、少なくとも1032件だったことを明らかにした。前年比で37%減少した。

 アムネスティの報告によると、裁判例に関する中国の公共データベースからは、外国籍の被告のものを含む、数百件の死刑判決の記録が削除されていたという。このことから、同国での死刑を取り巻く現状については、組織としての関与も見て取れるという。

 中国共産党は、死刑に関する情報を国家秘密としている。

 アムネスティの東アジア担当ディレクターのニコラス・ベクリン(Nicholas Bequelin)氏は、香港(Hong Kong)で行われた記者会見で「死刑に関してこれほど徹底した機密体制が敷かれているのは中国だけだ」と述べた。

 アムネスティは、中国の国内メディアが2014~16年に報じた死刑は931件に上るが、オンラインのデータベースには、このうち85件しか登録されていないことを指摘した。

 中国の最高人民法院(Supreme People's Court、最高裁に相当)は2013年、司法判断は公にすべきとの判断を示しているが、この決定には「国家機密」や個人情報を含むケースなど多くの例外が含まれていた。

 中国では、刑事裁判の99.92%で有罪判決が言い渡される。しかし、警察による自白強要や刑事裁判での弁護体制の問題など、冤罪に対する懸念も指摘されている。

 米国を拠点とする人権団体「対話基金会(Dui Hua Foundation)」の2016年の報告書によると、中国では、死刑判決を受けてから刑執行までの期間は平均で約2か月だという。(c)AFP