【4月6日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の長女イヴァンカ(Ivanka Trump)さん(35)は、大統領に意見できる数少ない人物の一人だが、大統領補佐官として政権に加わって以降初のインタビューで、父親と異なる主張も「ありのまま正直に」口にすると語った。

 イヴァンカさんと夫のジャレッド・クシュナー(Jared Kushner)氏は、トランプ政権の中枢を占める重要人物として注目を集めている。2人とも大統領から全面的に信頼され、クシュナー氏は政治経験がないにもかかわらず急速に職務範囲を拡大している。

 無給の連邦政府職員として正式に政権に加わる前から、イヴァンカさんはホワイトハウス(White House)にオフィスを持ち、外国要人の出迎えや政策会議への同席などトランプ氏の傍らに寄り添う姿が目立った。トランプ大統領に対する緩衝役と評されることもしばしばだ。

 そんなイヴァンカさんは、米CBSテレビの朝のニュース番組「ディス・モーニング(This Morning)」で政権加入後初となるインタビュー取材に応じ、自分が担うことになった前例のない新たな役割について見解を示した。

「私は今も父の娘だ」。そう語ったイヴァンカさんは「でも、思い入れの強い課題については、父に意見していく」と明言した。トランプ大統領はイヴァンカさんが異論を抱いているときには「すぐに気付く」ので、「私はありのまま正直に自分の考えを話す」という。

「これは、私の見解を広めようということではない」と、イヴァンカさんはCBSに強調した。「私は米国民から大統領に選ばれたわけではないから」

 ただ、「(大統領の意見に)賛同するときは、全力でその課題を支援し」「好影響を与えていきたい」とイヴァンカさんは話し、トランプ大統領が「常に聞く耳を持っている事実を尊敬している」と付け加えた。

 イヴァンカさんは、同性愛者の権利問題や中絶、気候変動などの分野ではトランプ政権の誰よりリベラル寄りの考えを持っているとみられているが、はっきりと見解を表明していないため批判を受けている。これについてイヴァンカさんは、「公然と非難しないことと沈黙をひとくくりにしないよう言っておきたい」と語った。

 典型的なファーストレディー(大統領夫人)の役割を果たすことが増えつつあるイヴァンカさん。これまで自身の名を冠したファッションブランドで「トランプ帝国」のビジネスの一翼を担ってきたが、もはや事業には一切関わっていないという。「受託契約を結んで任せている。経営も、監督も、戦略的意思決定にも関与していない」

「父やホワイトハウスに極めて接近している気がしたのに加えて、夫が政権内で影響力の大きなポストを引き受けたため、このうえ事業経営にも携わることはしたくなかった。だから信託事業にした」とイヴァンカさんは説明した。(c)AFP/Carlos HAMANN