【4月6日 AFP】ミャンマーのアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)国家顧問は、5日に放送された英BBCテレビのインタビューで、イスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)に対して民族浄化が行われているとの見方を否定した。

 スー・チー氏は「民族浄化が行われているとは考えていない。現在起きていることを指すのに、民族浄化という表現は強すぎる」と述べた。

 ミャンマーでは昨年10月、西部ラカイン(Rakhine)州でロヒンギャを名乗る武装勢力が国境検問所の警官9人を殺害する事件が発生。容疑者を追及する国軍の作戦で、これまでに約7万5000人が隣国バングラデシュに脱出した。逃げた人々は軍の弾圧に関する凄惨な証言を口にしており、人権団体は既にロヒンギャ数百人が軍の作戦で殺害されたとしている。

 国連人権理事会(UN Human Rights Council)は、ミャンマー国軍がロヒンギャに対しレイプや殺人、拷問を行っているとの疑惑をめぐり、独立調査団の派遣を決めた。

 しかし、ミャンマーの事実上の国家指導者でノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)受賞者のスー・チー氏は、ロヒンギャ100万人以上が住むラカイン州では「多くの敵対行為」があると指摘。「イスラム教徒が、当局と連携していると疑いをかけたイスラム教徒を殺害する状況も起きている」と強調した。

 その上で、スー・チー氏は「これは民族浄化ではなく、意見の異なる別々の立場に身を置く人々の問題だ。われわれは、この分断を狭めようと取り組んでいる。少なくとも溝を広げないようにしたい」と語った。

 ロヒンギャの多くは市民権を認められていない。また、2012年にラカイン州でイスラム教徒と仏教徒の衝突が起きて以降、数万人がバングラデシュ国境に近い避難民キャンプで暮らしている。(c)AFP