【4月6日 AFP】ノルウェー政府は5日、世界初となる山を貫通する大型船舶用トンネルを建設する計画を発表した。完成すれば、嵐が吹き荒れることで知られる水域を避けて航行できるようになる。

 建設地は南西部のスタッド半島(Stad Peninsula)の付け根に当たる部分。幅36メートル、全長1.7キロのこのトンネルが完成すれば、船舶は同半島を回り込まずに済む。

 ノルウェー南部が面する北海(North Sea)ではスラッド半島から吹き上げる激しい風で波が非常に高くなり、嵐になると静まるまで多くの船舶が待機を余儀なくされる。一帯の水域は有能な船乗りだったバイキング(Viking)ですら敬遠し、一度船を陸に揚げて移動していた。

 小型船舶が通れるトンネルはフランスのミディ運河(Canal du Midi)など世界に既に存在するが、1万6000トン級のタンカーや旅客船が通過できるトンネルは世界初となる見通し。ノルウェーの南北を結ぶ沿岸急行船も通り抜けられるという。

 ヒェティル・ソルビク・オルセン(Ketil Solvik-Olsen)運輸・通信相によると、トンネルは2018~29年の総合運輸整備計画の一環で建設される。ノルウェーで「最も危険で厳しい水域で、より安全で信頼できる経路」を確保するとしている。この期間の前半に着工し、工期は3~4年を見込む。総工費は27億クローネ(約350億円)と見積もられている。(c)AFP