【3月31日 AFP】 米連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー(James Comey)長官が、偽名でインスタグラム(Instagram)とツイッター(Twitter)を始めたと漏らしたとき、テクノロジー関連サイト「ギズモード(Gizmodo)」のアシュリー・ファインバーグ(Ashley Feinberg)氏はその秘密のアカウントを突き止めてやろうと考えた。

 ファインバーグ氏は、4時間にわたるFBI並みの「捜査」によって、コミー長官がキリスト教プロテスタントの米国人神学者、故ラインホルド・ニーバー(Reinhold Niebuhr)氏の名前をそれぞれのアカウント名に使っていることを確信した。ツイッターのフォロワーは1人しかいなかった。

 コミー長官は29日夜、安全保障関連の会合の場で、家族に置いていかれないようにするためソーシャルネットワークの時代に慎重に足を踏み入れたと語った。

「私はプライバシーを非常に大事にしている。インスタグラムのアカウントのフォロワー数は9人だ。近親者と娘の恋人以外、誰にも公開していない」と、長官はうっかり漏らした。

 これにファインバーグ氏は好奇心をそそられた。彼女はコミー長官の家族のアカウントを探し、ついに息子のインスタグラムを突き止めた。そのアカウントは非公開になっていたためフォロー申請を行うと、他のフォロー候補のアカウントが表示され、その中に「ラインホルド・ニーバー」という怪しい名前を発見した。フォロワー数は9人だった。

 これをヒントに、ネットで情報を調べたところ、コミー長官が、ニーバー氏をテーマに大学の卒業論文を書いていたことがすぐに分かった。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権とロシア政府の関係についてFBIの捜査を主導し、民主・共和の両党から厳しい目を向けられているコミー長官。インスタグラムのアカウントは、当然のごとく非公開だった。

 だがそこからツイッターにたどり着くのは簡単だった。

 ファインバーグ氏は「ラインホルド・ニーバー」の名を冠するアカウントを7つ見つけた。そのうち、プロフィールを隠していたのは「@projectexile7」だけだった。この「Project Exile(プロジェクト・エグザイル)」とは、コミー氏が携わった銃犯罪対策プログラムの名前だった。

「@projectexile7」は3年間、何も投稿していなかった。フォロー数はわずか27人だったが、それらのアカウントはFBI担当の記者たちや警察当局者、そしてトランプ大統領のものだった。

 さらに、たった1人のフォロワーは安全保障の法律の専門家でコミー長官の友人だった。もう間違いない。

 大したセキュリティーだ。FBIは30日の時点でこの件についてコメントを出していないが、ツイッターのユーザーたちは確証を得たようだ。ファインバーグ氏の記事が報じられた後、「@projectexile7」のフォロワー数は8000人を超えた。一度もツイートしたことのないアカウントにしては上出来だ。(c)AFP