■対立するギャングに挟まれた「戦場」

 丘の中腹にあるマクシミリアノ・サガストゥメ校は、高さ3メートルの壁の上に有刺鉄線を張り巡らすなどの安全対策を取っている。

 学校の北側には、家のない石だらけの丘を挟んで「コンボ(Combo)」と呼ばれるギャングが支配する地区「ピカチート(El Picachito)」があり、南側は「MS-13」の縄張りだ。学校と周辺のコンクリート造りの家々はまさに、この2つのギャングが頻繁に交戦する緩衝地帯に建っている。

「私たちは銃撃戦の真っただ中にいる。夜はまるで戦場だ」。同地区で小さな店を営むナポレオン・スニガさん(70)は言う。「彼らの望みは、この一帯を支配して麻薬を売って稼ぎを巻き上げることだ」

 ホンジュラス全土の「MS-13」と「バリオ18」のメンバー数について、警察は計2万5000人ほどと推定しているが確かな数字は不明だ。例えば、国連薬物犯罪事務所(UNODC)は1万2000人としている。

 いずれにせよ、ギャング絡みの事件が殺人発生率に影響していることは明白だ。世界保健機関(WHO)によると、ホンジュラスの殺人発生率は世界平均の10倍に近い。(c)AFP/Noe LEIVA