【3月31日 AFP】学校の屋根を突き抜けて飛んできた銃弾に、生徒たちは逃げ回った。生徒4人と教師が負傷した。

 2月27日、中米ホンジュラスの首都テグシガルパ(Tegucigalpa)北部にあるマクシミリアノ・サガストゥメ(Maximiliano Sagastume)校が、ギャングたちの抗争の現場となった。

 こうした暴力沙汰はホンジュラスでは一般的で、すぐに次の国内ニュースに埋もれ、国外で報じられることはほとんどない。

 ギャングから生徒たちを守るために警察が規制線を張った8日間、学校は閉鎖された。その一味はギャング集団「マラ・サルバトルチャ(Mara SalvatruchaMS-13)」の地元組織だった。

「MS-13」と最大のライバルである「バリオ18(Barrio 18)」、そして他の規模の小さいギャング組織はそれぞれ支配地域をもち、住人たちの自由な往来を禁じ、頻繁に銃撃戦を繰り広げている。

 こうした様相は、中米の「北部三角地帯(Northern Triangle)」と呼ばれるホンジュラス、エルサルバドル、グアテマラの3か国で共通にみられる。麻薬と武器を密売するギャングたちが法の支配に取って代わり、貧困と暴力にさいなまされている地帯だ。

■手足を切断された双子少女の遺体

 国家治安部隊の報道官、マリオ・リべラ(Mario Rivera)中佐はAFPの取材に対し、大量の人員がテグシガルパやその他の都市で学校の警備にあたっていると述べた。

 生徒300人が通う学校の教師が匿名を条件に語ったところによれば、生徒の中にギャングのメンバーが何人かいて、同級生や教師への脅威となっているためにたびたび、警察による保護が必要とされるという。マクシミリアノ・サガストゥメ校の生徒4人と女性教師は軽傷で済んだが、多くの親が子どもを転校させた。

 この銃撃事件の後、14歳の双子の姉妹が誘拐され、数日後に切断された遺体が発見されたため、保護者たちの動揺はさらに高まった。警備に立っていた警官は「ここの人々は片目を開けたまま眠る」と語った。