■反対意見

 反対意見ももちろんある。

 米ボストン大学の経済学者ジェームズ・ベッセン(James Bessen)氏は、人騒がせなこれらの予想をはねつけ、技術的な進歩に関しては、たとえ仕事の性質が変わったとしても、職の増加をもたらすのが普通の考え方だと反論する。

 同氏は、近年のATMの普及後も銀行の出納係の雇用が減っていないこと、また19世紀の繊維工場の自動化は機織の需要増で機織関連職の増加につながったことなどを例に挙げた。

 ロボットがもたらすであろう最終的な影響については、まだ未知数な部分が多い。それでも、テクノロジー業界のリーダーらは、近未来の労働市場へのインパクトに備え、その対処法を既に議論し始めている。

 米マイクロソフト(Microsoft)共同創業者のビル・ゲイツ(Bill Gates)氏は先月、「ロボット税」のアイデアを支持する考えを表明。ロボット税は、仏大統領選挙で社会党の候補者らが訴えているアイデアだ。

 しかし、米ハーバード大学バークマンセンター(Harvard's Berkman Center)の元フェローであるベッセン氏は、ロボットに対する課税は自動化による恩恵を停滞させるもので逆効果だと指摘する。

 新技術開発を支援するXプライズ財団(X Prize Foundation)の設立者でもあるピーター・ディアマンディス(Peter Diamandis)会長は、職を失った人々に「最低所得保障」の提供を提唱する1人だ。

 だが、ワドワ氏は「最低所得保障」は職がないという社会問題の解決にはならないと語る。

 ベッセン氏は、他を犠牲にして成り立ってきた高技能職の成功とその傾向をくつがえすのは「大きなチャレンジ」としながらも、それは不可能なことではないと話す。しかし、「過去20年間、物事が間違った方向に進んできたことは示されている」と指摘した。(c)AFP/Rob Lever