■ニワトリに天寿全うさせると誓ったポアンシュバル少年

 ポアンシュバルさんの父親のクリスチャン(Christian Poincheval)さんは、普段は愛想のいい息子がガラスケースのなかでは観客と目が合うことを避けるのだから、このパフォーマンスは息子の心の強さを試すものになると語った。

 クリスチャンさんは「息子は自己の中に入っている」と語り、ケース越しに息子を見ることについて「テレビに映った息子を見ているようだ」と付け加えた。

 クリスチャンさんによると、ポアンシュバルさんは子どもの頃にニワトリを飼っており、自分が卵からかえした「ニワトリ君、ニワトリさん」に天寿を全うさせると誓っていたという。

 バラやチョコレートの豊かなにおいのする錠剤を発明したことで知られるクリスチャンさんは「豪華な鶏舎など、ヒナを迎える準備はすべて整っている。彼らが宴会のメインディッシュになることは絶対にないと請け合うよ」と述べた。

 クリスチャンさんはこのパフォーマンスを人生のサイクルにおける瞑想と捉えている。卵のふ化に必要な期間は21~26日ほどで、これは女性の生理周期に相当する。

 フランスの最先端を行くアーティストとしばしばポアンシュバルさんは、奇抜なパフォーマンスで知られている。クマのはく製の中で虫を食べて2週間過ごしたこともあれば、岩の下に8日間埋まったことも、巨大な瓶に入ってローヌ(Rhone)川を下ったこともある。昨年にはパリの鉄道駅前に設置された高さ約20メートルの柱の上で1週間過ごした。

 そんな彼には、雲の上を歩くという大きな夢がある。その夢について彼は「5年間取り組んでいるけど、まだまだ先は長いね」と語った。(c)AFP/Fiachra GIBBONS/Charlotte DURAND