【3月29日 AFP】タイ東部のジャングルで、密猟により絶滅が危惧されている野生のインドシナトラの繁殖が確認され、自然保護活動家らは28日、「奇跡的な」勝利だと喜びの声を挙げた。

 タイ東部のジャングルに設置されたカメラで2016年の1年間を通じて、子どものトラ6頭を含む複数のトラの姿が捉えられた。繁殖しているインドシナトラの群れの存在が確認されたのは世界で2例目。

 繁殖がみられるもう一つの群れは、ミャンマーとの国境に近いタイ西部にある野生生物の生息地をつなぐ森の回廊に生息。30数頭と世界で最も大きな群れとなっている。

 今回の調査を支援した野生動物保護団体「パンセラ(Panthera)」のトラ保護プログラムのシニアディレクター、ジョン・グッドリッジ(John Goodrich)氏は「タイ東部のトラの生息数の大幅な回復はまさに奇跡的だ」と述べた。

 カメラは野生動物の密輸や人身売買の撲滅に取り組んでいる団体「フリーランド(Freeland)」とタイの公園当局の助けを借りて設置され、複数の雌のトラとその子どもたちが植物が生い茂るジャングルを歩く様子を捉えた。

 インドシナトラは、ベンガルトラやシベリアトラよりも小さく、かつてはアジアの広い範囲に生息していた。しかし現在推定されている生息数はわずか221頭で、その大半はタイに生息している。(c)AFP/Sally MAIRS, Aidan JONES