■観光開発事業の予定地も空き地のまま

 イム・ジョンスク(Lim Jung-Sook)さんは、事故のわずか1年前にこの島にゲストハウスをオープンさせた。開業後の最初の1年間は、繁忙期にはツインベッドの客室料金を1泊300ドル(約3万3000円)に設定していたが、それでも満室だったという。しかし、沈没事故の後には売上が大幅に落ち込んだ。

 イムさんはAFPに対し、「友人たちでさえ、ここに来ることを嫌がる。こんなひっそりとした雰囲気の中で、サングラスや麦わら帽子を身に着けて休暇を過ごしても居心地が悪いって言うんです」とこぼした。

 ペンモクギルへ行く途中にある空き地の真ん中には、看板が立っている。看板には、2014年12月から2017年12月にかけて、宿泊施設やショッピングセンター、レジャー施設などを備えた文化複合施設をこの場所に建設する具体的な構想が記されていた。

 珍島郡を対象とする数百万ドル規模の観光開発事業の一環として行われたものだ。だがこの場所は、沈没事故で行方不明になった子どもたちの遺族が、遺体が発見されるのを待ちながら寝泊まりするのに使われてきた。

 現時点では、開発計画の終了は3~4年後になると見込まれている。だが、その頃までには珍島が「悪魔の島」というイメージを払拭できているのではないかとチェ氏は期待を抱いている。(c)AFP/Hwang Sunghee