【3月28日 AFP】来年の平昌冬季五輪で2大会連続の金メダルを目指す羽生結弦(Yuzuru Hanyu)は、フィンランド・ヘルシンキ(Helsinki)で29日から開催される世界フィギュアスケート選手権(ISU World Figure Skating Championships 2017)での王座奪還に向けて、コンディションは完璧な状態だと強調している。

 2014年大会を制している羽生は昨季世界歴代最高得点を樹立するなど絶対王者の実力を見せながらも、ここ2年間の同大会では、カナダ出身の元世界王者であるブライアン・オーサー(Brian Orser)コーチの下でともに指導を受けるハビエル・フェルナンデス(Javier Fernandez、スペイン)に続く銀メダルに終わっている。

 4回転が王座へのカギを握っている男子シングルでは、フェルナンデスと羽生に加え、パトリック・チャン(Patrick Chan、カナダ)、そして2018年の平昌五輪を前に台頭著しい若手選手がしのぎを削っている。

 ハートウォール・アリーナ(Hartwall Arena)で30日にショートプログラム(SP)を迎える羽生は、「できることは全部やってきたので、ここで絶対に結果を出さなければいけない。コンディション的には完璧だと思う」と語った。

 2015シーズンにSPとフリースケーティング(FS)、そして合計点で世界歴代最高得点を記録した22歳の羽生は、五輪のプレシーズンとなる今季はグランプリ(GP)シリーズでNHK杯(NHK Trophy 2016)とGPファイナルを制したものの、スケート・カナダ(Skate Canada International 2016)ではチャンに後塵(こうじん)を拝して2位に終わり、四大陸選手権(ISU Four Continents Figure Skating Championships 2017)でもネイサン・チェン(Nathan Chen、米国)に続く銀メダルに終わった。

 1月に行われた全米選手権(2017 U.S. Figure Skating Championships)で、一つのプログラム内で5本の4回転ジャンプに成功して優勝した17歳のチェンは、宇野昌磨(Shoma Uno)や中国の金博洋(Boyang Jin、ジン・ボーヤン)らとともに若手有望株として王座を狙っている。

 一方、26歳のフェルナンデスは、欧州選手権(ISU European Figure Skating Championships 2017)で5連覇を果たしたものの、GPファイナルでは4位と不本意な成績で終了。今大会では2011年から2013年のチャン以来となる世界フィギュア三連覇を目指している。

■3連続三回転ジャンプ目指す女王

 男子が4回転時代に突入しているのに対し、女子ではロシアのエフゲニア・メドベデワ(Evgenia Medvedeva)が世界フィギュア連覇に向け「三回転ジャンプを3連続して跳ぶ」決意を固めている。

 マリア・ブッテルスカヤ(Maria Butyrskaya)氏がロシアの女子選手として初めて同地での世界フィギュアを制した1999年に誕生したメドベデワは、「欧州選手権では2つの世界歴代最高得点を記録し、そのことが世界選手権に向けて自信につながっています」と語った。

「今のところ三回転ジャンプは4回続けるのが精いっぱいですが、近い将来はもう1回加えるつもりです。新しいコンビネーションジャンプに挑戦したいと思っています」

 今大会の銀メダルと銅メダルは、米ボストン(Boston)で行われた昨年大会で2位に入った26歳のアシュリー・ワグナー(Ashley Wagner、米国)と3位に続いた18歳のアンナ・ポゴリラヤ(Anna Pogorilaya、ロシア)の争いになるとみられる。

 2012年大会の女王で2014年のソチ冬季五輪で銅メダルに輝いたイタリアのベテラン選手、カロリーナ・コストナー(Carolina Kostner)も、2年のブランクを経て出場した今年の欧州選手権でロシア勢の表彰台独占を阻む実力を発揮した。

 平昌五輪で3枠確保を目指す日本は、宮原知子(Satoko Miyahara)がけがで欠場するなか、四大陸選手権を制した三原舞依(Mai Mihara)がその期待を背負っており、「五輪の出場枠を得たいですが、そこにこだわり過ぎるとパフォーマンスに影響を及ぼす可能性があります」とすると、「まずは全力を尽くして、ノーミスで最高のスケートをすることです」と語った。

 女子のSPは、29日に行われることになっている。(c)AFP/Emmeline MOORE