【3月26日 AFP】英国の元自転車選手ブラッドリー・ウィギンス(Bradley Wiggins)氏が25日、薬物違反疑惑についてようやく口を開き、「言いたいことはたくさんある」と話すとともに「何人かの人間はショックを受けるだろう」と断言した。

 五輪で5個の金メダルを獲得するなどし、2016年に現役を引退したウィギンス氏には、2011年のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ(Criterium du Dauphine)で薬物違反を犯した疑いが持たれているが、同氏は疑惑を一貫して否定している。

 現役時代に所属したチームスカイ(Team Sky)の母体であるテレビ局スカイの番組に出演したウィギンス氏は、疑惑への対応に追われたこの数か月は「ひどいもの」だったと振り返り、「潔白の人間が告発されるのは最悪のこと」と話した。

「ひどいものだった。自分のような潔白の人間が、自分の信じていることや、ここへたどり着くためにやってきたことのせいで告発されるなんてね」

「幸運にも調査が実施されているし、もちろん調査は今後も続くわけだから、現時点では言えないことがたくさんある。しかしその後には、私も言いたいことを言おう。言いたいことはたくさんあるし、何人かの人間はショックを受けるだろう」

 問題の発端は、ロシアのハッカー組織ファンシー・ベアーズ(Fancy Bears)がウィギンスの医療記録を公開した約2か月後に、本人が引退を発表したことだった。

 記録によれば、ウィギンスは2011年から2013年にかけて、三大ツール(グランツール)の前に許可を得て禁止薬物のトリアムシノロン(triamcinolone、ステロイドの一種)を摂取しているが、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネについては許可の有無が確認できなかった。トリアムシノロンは、治療に使用することを認める措置を受けた場合を除き、摂取が禁止されている。

 ウィギンスとともに、チームスカイも反ドーピングの手順について厳しく追及されている。元チームドクターのリチャード・フリーマン(Richard Freeman)氏は、クリテリウム・ドゥ・ドーフィネの山場で、鼻づまりに効果のある合法薬アセチルシステイン(Fluimucil)をウィギンスに与えたと発言した。

 しかし、英国反ドーピング機関(UKAD)のニコール・サプステッド(Nicole Sapstead)会長は、英国議会の特別委員会で発言を裏付ける「記録は見つからなかった」と話している。

 チームスカイは、グランツールの中でも最も権威のあるツール・ド・フランス(Tour de France)を最近5大会中4大会制している。(c)AFP