【3月26日 AFP】欧州連合(EU)の基礎となったローマ条約(Treaty of Rome)調印から60周年を迎えた25日、イタリア首都ローマ(Rome)でEUの特別首脳会議が開かれた。サミットにはEUからの離脱が決定している英国のテリーザ・メイ(Theresa May)首相を除く加盟27か国の首脳が出席し、共有する未来への誓いを新たにした。

 27か国の首脳は、1957年3月25日に6か国がローマ条約に調印したローマのカピトリーノの丘(Capitoline Hill )で新たな宣言に署名した。

 サミットが開催されたローマではEU賛成と反対のデモが行われたほか、今月29日にEUに離脱を正式に通知する英国では、首都ロンドン(London)で反ブレグジット(Brexit、英国のEU離脱)を唱える数千人規模のデモ行進が行われた。

 ブレグジットを始め、移民・難民や瀕死の経済、テロ、ポピュリズム(大衆迎合主義)などの危機的状況に直面するEUだが、欧州理事会(European Council、EU首脳会議)のドナルド・トゥスク(Donald Tusk)常任議長(EU大統領)はより強いリーダシップを発揮するよう呼びかけ、「あなた方が欧州の指導者であること、そして60年前に欧州統合の英雄たちからわれわれが受け継いだこの偉大な伝統をあなた方は守ることができるということを今日ここで証明してほしい」と述べた。

 ルネッサンス時代に建立されたコンセルバトーリ宮(Palazzo dei Conservatori)に各国首脳を迎えたパオロ・ジェンティローニ(Paolo Gentiloni)伊首相は、「私たちは過去60年間欧州の平和を享受してきた。(EUの)創立者たちに感謝しなければならない」とあいさつした。

 ローマ条約はベルギー、フランス、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、西ドイツ(当時)の6か国が欧州経済共同体(EEC)の設立を目的として署名した。

 60年前に使われたのと同じペンで各国首脳が署名した新しい「ローマ宣言(Rome Declaration)」は、変わりゆく世界の中で「欧州はわれわれが共有する未来だ」と宣言した。(c)AFP/Danny Kemp and Angus MacKinnon