【3月25日 AFP】欧州連合(EU)の基礎となったローマ条約(Treaty of Rome)調印から60周年を迎える25日、イタリア・ローマ(Rome)で特別首脳会議(サミット)が開催される。

 フランス、西ドイツ(後のドイツ)、イタリア、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクが、後のEUへと続く欧州経済共同体(EEC)の設立条約に調印したのは、60年前の1957年3月25日。このときと同じルネサンス時代の宮殿を会場とし、次の10年へ向けてEUの再出発を誓う「ローマ宣言(Rome Declaration)」を採択する。ただし出席するのは27か国の首脳で、4日後にEU離脱交渉を開始する英国のテリーザ・メイ(Theresa May)首相は出席しない。

 英国の離脱の他にも、EUは現在、その基盤を揺るがすさまざまな危機に見舞われている。EU圏への大量の移民流入、ユーロ圏の債務危機、テロリズムやポピュリスト政党の台頭といった問題が、第2次世界大戦(World War II)の廃虚から結成された域内共同体に新たな答えを求めさせている。しかしサミット開始前から、ローマ宣言での表現をめぐり各国首脳の主張の溝は深く、論争はまさにEUが直面する課題を浮き彫りにしている。

 前日、ローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王はバチカンで演説し、連帯と社会的正義という発足時の原則に立ち返ることの重要性を説き、「一つの機関が方向性を失い前を向くことができなくなれば、後退を経験することになり、長期的には死滅する恐れがある」と訴えた。

 一方、EUに対し懐疑的な姿勢を示し、深い警戒心を抱かせていた米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の政権は、これまでのトーンから大きく転換し、60周年を祝福している。(c)AFP/Danny KEMP