【3月25日 AFP】英ロンドン(London)で行われた医学会議で24日、前立腺手術を受けて勃起できなくなっていた男性たちが、幹細胞治療のおかげで正常な性交を楽しむことができるようになったとの研究結果が発表された。

 第1相臨床試験においては、勃起不全を患う男性15人のうち8人が、1回きりの治療を受けた半年後に薬や陰茎インプラントに頼ることなく性交を行うことができた。

 この有益な結果は、術後1年間にわたる経過観察期間中に勃起できなくなる兆候がなかったことを示している。

 この治験を行ったデンマーク・オーデンセ大学病院(Odense University Hospital)のラース・ルンド(Lars Lund)教授は「われわれの知る限り、人を対象とした臨床試験の12か月にわたる追跡調査で、幹細胞治療の成果が継続し、安全であることが示されたのはこれが初めてだ」と語った。

 これはデンマークの保健当局に、幹細胞治療を実際に行うグループと、実際には行わずに行ったと思わせるグループとを比較するいわゆる第3相臨床試験の実施を承認させる見込みが十分にある結果となった。

 ルンド教授は電話取材に対し、新しい臨床試験に参加できるのは、前立腺がんから回復し、膀胱をコントロールできる男性だけだと語った。

■脂肪細胞から幹細胞を作る

 幹細胞治療を行うためには、脂肪吸引術によって患者の腹部から脂肪細胞を取り除かなければならない。

 脂肪細胞は短時間処理を受け、人体を構成するほぼすべての細胞に変化することができる幹細胞に生まれ変わる。

 こうして作られた幹細胞はそれから注射器で陰茎に注入され、陰茎内で血管内皮細胞や神経細胞、筋細胞に変化する。

 この治療は全身麻酔下で行われ、患者は即日退院できる。(c)AFP/Marlowe HOOD