【3月23日 AFP】米下院情報特別委員会(Permanent Select Committee on Intelligence)のデビン・ニューネス(Devin Nunes)委員長(共和党)は22日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の通信が昨年末、外国政府の工作員と疑われる人物らの監視活動を行っていた米情報当局に偶然傍受されていた可能性があると述べた。

 ただしニューネス氏は、トランプ氏が主張するように当時大統領だったバラク・オバマ(Barack Obama)氏が監視を命じた証拠や、トランプ氏が監視対象となっていたことを示す証拠はないと指摘。裁判所の令状を得て外国情報機関の工作員と疑われる人物らの監視を行う中で、たまたまトランプ氏の通信が傍受されたとの見方を示した。

 傍受された通信はロシアに関係した内容ではなく、「機密情報としてほとんど、または全く価値のないもの」だったとみられるという。

 ニューネス氏はトランプ氏の政権移行チームのメンバーだった人物で、現在はトランプ氏の選挙対策チームがロシア当局と接触していたとされる疑惑をめぐる調査を指揮している。

 ニューネス氏によれば、トランプ氏と政権移行チームのメンバーの名前は、米情報機関の報告書に「はっきりと」記載されていた。情報収集の期間はトランプ氏が大統領選で勝利した昨年11月から大統領に就任した今年1月にわたり、収集された情報は米情報当局間で広く共有されていたという。

 米情報当局の規定では、監視活動中に偶然収集された米国人に関する情報について、報告書では削除するか黒塗りにしなければならないことから、ニューネス氏は監視活動に関わった人物らがこの規定に違反していたとの見方を示した。

 ニューネス氏の発言は、昨年の米大統領選にロシアが関与したとの疑惑をめぐる超党派の調査に根本から影響する恐れがある。下院情報特別委の有力委員アダム・シフ(Adam Schiff)議員(民主党)は、ニューネス氏が情報委員会にこの情報を報告する前にトランプ大統領やメディアに明かしたのは「またしても深刻な異常事態」だと述べ、怒りをあらわにした。(c)AFP/Andrew BEATTY, Paul HANDLEY