【3月22日 AFP】ラグビー元オーストラリア代表のトニー・デイリー(Tony Daly)氏が、アルコールや薬物を引き金に軽犯罪を犯しながらも実刑判決を免れた翌日の22日、自身が幼少期に性的虐待を経験していたことを告白した。

 デイリー氏は、フィル・カーンズ(Phil Kearns)氏やユーウェン・マッケンジー(Ewen McKenzie)氏がワラビーズ(Wallabies、オーストラリア代表の愛称)史上最高のフロントローを形成したとされる1989年から1995年の間にテストマッチ41試合に出場したキャリアを持つ。

 しかしながら、21日に窃盗や交通違反の罪で法廷に立ったデイリーは、自身が11歳だった時に通っていたシドニー(Sydney)の名門校で修道士の一人に性的暴行を加えられたと明かした。

 51歳のデイリー氏は、地元紙シドニー・デーリー・テレグラフ(Sydney Daily Telegraph)に対し「全寮制の学校は、私の人生が間違った方向に進み始めた場所だった」としたうえで、「2度の離婚を経験し、暴飲を重ねたり、薬物も乱用したりした。めちゃくちゃだった」と語った。

 500時間の社会奉仕活動と、2021年までの運転免許停止処分を受けたデイリー氏は、2年間に及んだ性的暴行は「自分から純真さと普通の生活を奪った」と話した。

 加害者は「いじめっ子」で「変態」だったと表現したデイリー氏はまた、「当時私は11歳で、そこまで頭が回らなかった。何年間かは、それが普通の行動だと思っていた」と振り返った。

 1991年に行われたラグビーW杯(Rugby World Cup)決勝のイングランド戦でトライを記録し、母国の優勝に貢献したデイリー氏は、抑えてきた怒りがスター選手になる夢をかなえるモチベーションになったというが、現役引退後は自殺願望を持ち、アルコールや薬物に溺れていた。(c)AFP