【3月21日 AFP】中国陸上競技協会(CAA)は20日、昨年国内で300万人近くのランナーが参加するなど急成長を遂げている市民マラソンでの不正行為を取り締まるため、永久追放処分などの厳しい罰則を導入すると発表した。

 CAAは声明で、参加者が別の名前で走ることをはじめ、レース中に別のランナーと入れ替わったり、個人識別番号(PIN)のチップを複数所持したりすることを禁止すると述べた。初回の違反については不正を行ったレースから永久追放処分とし、2回目からは中国全土のマラソン大会から永久に除外されることになる。

 世界一の人口を誇る中国では昨年12月、福建(Fujian)省アモイ(Xiamen)市で開催されたハーフマラソンにおいて、一人のランナーが心臓発作で亡くなったことで思わぬ不正行為が発覚した。

 問題のハーフマラソンでは、ゴール地点から4.5キロメートル手前で心臓発作を起こして亡くなった男性が、別のランナーの身代わりとして走っていたことが判明するなど、主催者側がレースの参加者1万8000人のうち、30人を失格にする事態に発展した。

 北京青年報(Beijing Youth Daily)の報道によると、死亡した男性をレースで走らせた人物と、この男性が色違いの女性用ゼッケンをつけて走っていたことを見落としていた主催者を相手取り、遺族が120万元(約2000万円)の訴訟を起こしたと伝えられている。

 レースでは100位以内に入った高校生は大学入試に向けて単位を稼ぐことができるとされており、これが不正の動機となった可能性があると報じられている。また、別の大会では高額な賞金が稼げることや、替え玉を使って入手した完走証明書をソーシャルメディアで見せびらかしたいという理由でも不正が行われているという。

 2016年に中国では約280万人が参加して、計133都市で328ものマラソン大会が開催されており、その数字は前年比で150パーセントも増加。今年はレース数が500に上ると予想されている。(c)AFP