【3月21日 AFP】中国北部で最悪レベルに達している、人の健康に深刻な被害を及ぼす大気汚染について、地球温暖化によって発生頻度と深刻度がさらに増大しているとする研究結果が20日、発表された。

 これまでの研究によると、中国では、大気中の有毒微粒子が原因で毎年100万人近くが早死にしているという。

 中国・青島海洋科学・技術国家実験室(Qingdao National Laboratory for Marine Science and Technology)の蔡文炬(Wenju Cai)氏率いる研究チームは、英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)に発表した研究論文で「気候変動によって北京(Beijing)を覆う冬の濃い煙霧をもたらす、気象条件の発生が増加する」と報告した。

 中国北部にある北京などの主要都市では、強烈なスモッグの発生に適した気象条件となる日の年間日数が1982年~2015年に45日から50日へと増加し、その前の30年間に比べて10%の急増を示したことが、今回の研究で明らかになった。

 温暖化が弱まることなく続けば、こうした傾向の悪化は避けられない。

 健康をむしばむ煙霧の持続的な発生については、今世紀後半の50年間で、頻度がさらに50%増加し、持続する時間も2倍近くになると考えられることを、研究チームは明らかにした。

 主な危険因子は微粒子汚染、特に直径が2.5マイクロメートル未満の、人毛の約40分の1の大きさしかない有毒な超微粒子「PM2.5」だと、専門家らは口をそろえる。

 石炭の燃焼、自動車の排ガスや粉じんなどが主な発生源となるこの超微粒子は、重度の呼吸器障害を引き起こしたり、心臓病のリスクを上昇させたりする恐れがある。ヒト細胞に入り込めるほど小さく、免疫系や神経系に悪影響を及ぼすこともある。