【3月19日 AFP】ブラジルのミシェル・テメル(Michel Temer)大統領は19日、世界有数の食肉生産国で国内外に広く鶏肉などを販売している同国において、食肉の安全性をめぐり不正問題が発覚したことを受け、緊急閣議を開くと発表した。

 2年間にわたる警察の捜査によって17日、公衆衛生検査官数十人が賄賂を受け取り、衛生基準を満たさない食品を消費に適しているとして承認していたとの不正が明らかになった。

 不正に関わったとされる多数のブラジル企業は18日、自社製品は安全だと主張したが、国民の不安は高まるばかりだ。この食肉偽装スキャンダルは、ブラジルなどの南米諸国が加盟する南部共同市場(メルコスル、Mercosur)が欧州連合(EU)との貿易協定締結を進めているさなかという微妙な時期に発覚した。

 ブラジル農牧省によると、当局は17日、12以上の食肉加工業者を強制捜索し、逮捕状27枚を取り、食品大手のブラジルフーズ(BRF)の鶏肉加工場1か所と、Peccinの食肉加工場2か所を閉鎖した。

 また、別に21か所の加工場で捜査が進められているほか、農牧省はこの不正問題に関与した当局者33人を免職処分にした。

 当局は、衛生基準を満たさない食品が見つかった場所について言及していないが、南部クリチバ(Curitiba)での記者会見で、腐った肉の悪臭を隠すために「発がん性物質」が使われていた事例もあったと述べた。

 この問題では、BRFだけでなく、同じ食品大手のJBSなども捜査の対象となっている。

 リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)のスーパーマーケットでよく買い物するというシルビア・ファリアス(Silvia Farias)教授は、鶏肉製品の一部には段ボールが混入しているとの報告もあり、懸念していると述べた。

 ブラジルは少なくとも世界150か国に鶏肉などの食肉を販売しており、この不正問題は同国にとって深刻な懸念事項となっている。(c)AFP