【3月18日 AFP】鉄道敷設に伴う土地収用への適切な補償を求めてインドの農民がインド鉄道(Indian Railways)を相手取って争っていた裁判で今週、思いもよらない判断が下された。裁判所は農民に列車を与えたのだ。

 インド鉄道は、鉄道敷設のために北部パンジャブ(Punjab)州のサンプラン・シン(Sampuran Singh)さんの土地を収用したにもかかわらず不十分な金額しか支払わなかった。シンさんは金銭補償を求めて2015年に法廷闘争を開始した。

 シンさんはこの訴訟で勝訴したが、それでもインド鉄道は金銭の支払いを拒んだ。このためシンさんは今年1月に新たな訴訟を起こしていた。

 シンさんの弁護士は17日、パンジャブ州の裁判所がシンさんに支払われるべき1000万ルピー(約1700万円)の代わりに特急列車を与えることを決めたと述べた。シンさんにはこの特急列車が通過するルディヤーナー(Ludhiana)の駅の駅長室の所有権も与えられた。

 15日の公判の後、シンさんと弁護士はルディヤーナー駅に行き、到着した特急列車の運転士に裁判所の命令が書かれた書類を手渡した。しかしシンさんは「特急列車を止めてしまったら大勢の乗客に迷惑がかかるから」と話し、運転士に終着駅まで運行することを認めた。

 インド鉄道はその後、この特急列車の管理権を次の公判が開かれる18日まで暫定的に確保する裁判所命令を得た。

 シンさんの弁護士によると、インド鉄道が18日までに補償金を支払わなかった場合、裁判所は首都ニューデリー(New Delhi)とパンジャブ州アムリツァル(Amritsar)の間で毎日運行されているこの客車20両の特急列車を競売にかけることができるという。(c)AFP