【3月17日 AFP】来年行われる平昌冬季五輪でもドーピングにまみれたロシア選手団の出場を禁止するという考えを、ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)と比較した国際オリンピック委員会(IOC)の理事が16日、謝罪した。

 IOC理事のジャン・フランコ・カスペル(Gian Franco Kasper)氏は、韓国・平昌(Pyeongchang)で記者団に対し、自身のコメントについて「心から申し訳なく思っている」と謝罪した。

 国際スキー連盟(FIS)の会長でもあるスイス出身の73歳は声明で、「不適切で無神経なコメントだった。私が気分を害させてしまったことについては、素直に謝罪する。心から申し訳なく思っている」と発表した。

 カスペル氏はこの日、ドーピングの記録を理由にロシア選手団を2018年の平昌冬季五輪から閉め出す可能性について問われ、議論を巻き起こすコメントを残していた。

 世界反ドーピング機関(WADA)の調査で2014年のソチ冬季五輪を筆頭にさまざまな国家ぐるみの薬物使用が発覚したあとも、ロシアはいまだに更生しきれておらず、懸念は大きくなっている。

 同地で行われた理事会の際にカスペル氏は、「無実の選手に出場停止や制裁を科すことに反対している。アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)がやったようなことだ。すべてのユダヤ人が、彼らが何かをしていようがしていまいが関係なく殺害された」とコメントしていた。

 二つのことを比較することについて盾突かれたカスペル氏は続けて、「なぜいけないのか。もちろんより極端ではある。とはいえ、そこの出身であるという事実だけで罪をかぶせられることになる。私にはまったくもって受け入れられない」と応じた。

「旅券を理由に出場停止や罰を与えることには反対だ。次にスミス氏が薬物違反をしたら、全世界にいるスミス性の選手たちを国籍問わず自動的に出場停止にしてしまう。それと同じだ。われわれはクリーンな選手たちを守るためにいる」

 カスペル氏は最高齢の理事で2000年からIOC役員に名を連ね、オリンピック冬季大会競技団体連合(AIOWF)の会長も務めている。また、過去にはWADAの理事にも就いていた。(c)AFP/Talek HARRIS