【3月17日 AFP】性的虐待を受けていた選手の訴えを法務当局に報告するのが遅れたとして、米国体操連盟(USA Gymnastics)のスティーブ・ペニー(Steve Penny)会長が16日、辞任した。

 元チームドクターのラリー・ナサール(Larry Nassar)被告が選手に性的暴行を加えていたとする問題で、ペニー会長は被害にあった数百人に及ぶ女子選手から「職務を怠った」として辞任を要求されていた。

 米国体操連盟の電話会議で辞任を表明したペニー会長は、その後の声明で「最高責任者から退くという私の決定は、現在の米国体操協会にとってそれが最善だと考えたからだ」と述べると、「性的虐待を知ったときはとても悲しかった。若い選手がこのような被害に遭っていたという事実は、私を深く傷つけた」とコメントしている。

 米紙インディアナポリス・スター(Indianapolis Star)の調査では、350人以上の若手体操選手が、コーチや競技関係者から性的暴行を受けていたことが明らかになり、米国体操連盟は性的暴行疑惑を把握しながらも当局に通報せず、さらには暴行容疑のある人物の多くが、連盟公認の施設を含めたジムに職場に勤めていたとしている。

 ペニー会長の辞任については、米国オリンピック委員会(USOC)が歓迎を表明しているが、被害を訴えている70人以上の女子選手の弁護士は、これが「終わりの始まり」にならなければならないとしている。

「被害者はペニー会長の辞任を歓迎しているが、これだけで問題に終止符を打ち、必要とする改革を見送らせてはならない。われわれは終わりの始まりだと考えている」

「性的虐待の黙認は、ペニー会長だけではなく、歴代の会長によって長きにわたり行われてきた。今回の辞任は、ラリー・ナサール医師やコーチ、競技関係者のひれつな行為について米国体操連盟が見て見ぬふりをしていたため、女性たちが勇気を持って公表した結果だ」 (c)AFP