【3月16日 AFP】ラグビー世界王者のニュージーランド代表と、テストマッチ最長記録に並ぶ18連勝中のイングランド代表が、2017年11月4日に英トゥイッケナム(Twickenham)で対戦する可能性が浮上していることが明らかになった。英紙デーリー・メール(Daily Mail)が15日に報じている。

 代表チームの試合日程の巡り合わせの関係で、世界ランキング1位と2位の両チームの対戦は、今のところ2018年までお預けとなっており、現時点でオールブラックス(All Blacks、ニュージーランド代表の愛称)は、11月4日にトゥイッケナムでバーバリアンズ(Barbarians)との招待試合に臨む予定となっている。

 しかし、デーリー・メールによれば、英ラグビー協会(RFU)のイアン・リッチー(Ian Ritchie)最高責任者が、その日にバーバリアンズ戦ではなくイングランド戦を組めないか、交渉を行っているという。

 RFUの広報は15日、英通信社プレス・アソシエーション(PA)に対し、「われわれは2018年にニュージーランド戦を予定しているが、それ以前に対戦する機会があるのであれば、実現の道を探る」と話している。

 同紙によれば、実現へ向けた一番の難点は、入場料収入の配分だという。オールブラックス戦となれば、8万2000人収容のトゥイッケナムのチケットが完売することは間違いなく、チームのブランド価値をよくわかっているニュージーランドラグビー協会(NZRU)は、チケット収入の5割、額にして300万ポンド(約4億2000万円)を、世界一裕福なラグビー団体であるRFUに要求しているという。

 イングランドはすでに、11月にトゥイッケナムでアルゼンチン、オーストラリア、サモアとテストマッチを行うことを予定しており、4日の試合はワールドラグビー(World Rugby)の指定するテストマッチには認定されない。

 6月にはブリティッシュ&アイリッシュライオンズ(British and Irish Lions、英国とアイルランドの選抜チーム)がニュージーランド遠征を予定しており、そのわずか数か月後に再びイングランド対ニュージーランド戦を組むということになれば、両協会が選手のことよりも金もうけで頭がいっぱいだとの批判が出る恐れもある。

 イングランドは先週、61-21でスコットランドを一蹴し、シックスネーションズ(Six Nations Rugby 2017)連覇を決めるとともに、テストマッチ最多タイの18連勝を飾ってニュージーランド代表と肩を並べた。18日にダブリン(Dublin)でアイルランドを下せば、記録を更新することになる。

 しかしこの期間中、イングランドはニュージーランドと対戦していない。前回対戦した2014年の試合では、オールブラックスが24-21で勝利している。

 オールブラックスのスティーブ・ハンセン(Steve Hansen)ヘッドコーチ(HC)は、イングランドの記録達成を祝福し、チームはエディー・ジョーンズ(Eddie Jones)HCの下で潜在能力に見合ったラグビーを見せていると話した。

 しかし用心深いジョーンズHCは、ハンセンHCから「これまでチームになかった意欲を植え付けた」と称賛されても、「『赤ずきん』の物語で、おばあさんに化けたオオカミがやって来たときのようなものだ」と答えるだけだった。

「オールブラックスのコーチからほめられたときは気を付けなくてはならない。どんなときも油断してはならない」 (c)AFP