【3月16日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が2005年に多額の税金を納めていたことを示す納税申告書の一部が流出し、大統領の支持者らから称賛の声が上がっている。

 トランプ氏は大統領選に出馬して以来、米国で数十年にわたり続いていた慣習を破り、納税申告書の全面公開をかたくなに拒否してきた。同氏は公開拒否の理由を会計監査下にあるためと説明してきたが、反対勢力からは、租税回避や問題ある収入源などの隠し事があるに違いないと非難する声が上がっていた。

 納税申告書の一部は14日夜、ピュリツァー賞(Pulitzer Prize)受賞歴のある調査ジャーナリスト、デービッド・ケイ・ジョンストン(David Cay Johnston)氏と米ケーブルテレビ局MSNBCにより公開された。ホワイトハウス(White House)もこの直前、トランプ大統領が2005年に3800万ドル(約43億円)を納税していたことを認めている。

 公開された文書によると、トランプ大統領は2005年に1億5000万ドル(約170億円)の収入を申告し、実効税率は約25%だった。また、租税軽減のため1億ドル(約113億円)余りが事業損失として損金処理されていた。ホワイトハウスはこの損失額を、建設事業による大規模な減価償却と説明している。

 だが、公開された納税申告書は2ページ分のみで、これだけでは納税歴公開を求める声の原動力となっている収入源をめぐる疑問は解明されない。

 トランプ氏に対してはロシアとの関係をめぐって疑いの目が向けられており、納税申告書の全容が明らかになれば、同氏が問題あるビジネス関係を構築しているのか否かが判明する可能性がある。

 流出した2ページ分の申告書は、政権にとって概ね有利な内容で、必要最低限の税金を払ってきたとするトランプ大統領の主張を裏付けているようにもみえる。

 MSNBCのキャスター、レイチェル・マドウ(Rachel Maddow)氏の番組に出演したジョンストン氏は、納税申告書は自分の郵便受けに入っていたもので、出所は不明だと説明。トランプ大統領の側近、あるいは大統領自身が匿名で届けた可能性もあると語った。

 これに対しトランプ大統領は15日、ツイッター(Twitter)への投稿で、ジョンストン氏を攻撃。「誰も名前を聞いたこともない記者が『自分の郵便受けで』私の納税申告書を見つけたなんて、本当に信じる人がいるのか。NBCニュースは偽ニュースだ!」と投稿し、同記者の説明を疑問視した。

 トランプ氏の支持者らはツイッター上で「#ThankYouMaddow(ありがとうマドウ)」のハッシュタグをつけたメッセージを次々と投稿。左派寄りのマドウ氏がトランプ氏の租税回避疑惑に終止符を打ったとして、喜びの声を上げた。(c)AFP/Andrew BEATTY