【3月15日 AFP】米ラッパーのスヌープ・ドッグ(Snoop Dogg)が、今週発表したミュージックビデオの中でドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領を模した人物に銃を発砲していることから物議を醸している。ビデオには警官による暴力行為も描かれている。

 米カリフォルニア(California)州でギャングスタ・ラップのパイオニアとして頭角を現したスヌープ・ドッグが新たに公開した「ラベンダー(Lavender)」のミュージックビデオでは、出演者の大半がピエロのメークをしており、そのうちの1人は、髪を逆立てて腰の下まで赤いネクタイをぶら下げ、演壇で激しい身振り手振りで話す様子などから明らかにトランプ大統領に扮していると思われる。

「ロナルド・クランプ(Ronald Klump)」と名付けられているピエロはスヌープ・ドッグが銃を抜くと逮捕されるかのように両手を挙げ、スヌープ・ドッグが引き金を引いた銃口からは「バン!」と書かれた旗が飛び出す。

 ビデオの前半部分では、ミネソタ(Minnesota)州で昨年、警官に停車を求められた後で射殺された黒人のフィランド・キャスティル(Philando Castile)さんの事件が引き合いに出されている。キャスティルさんが撃たれて死ぬ間際の様子を助手席に乗っていた恋人が携帯電話で撮影した動画はネット上で配信され、全米を震撼させた。

 トランプ大統領が属する共和党でヒップホップ好きを公言している数少ない上院議員、マルコ・ルビオ(Marco Rubio)氏はこのビデオを批判。「わが国では以前にも大統領が暗殺されている」とくぎを刺した上で、「不適切な人間があれを見て誤った認識を抱くと、本当にまずいことが起きかねない。スヌープが何を考えているのか分からない」と、芸能情報サイト「TMZ」に対し答えている。

 このところは以前のような過激さを薄めていたスヌープ・ドッグだが、自身は「議論を呼ぶようなものではなくリアリティーのある」ビデオを作ることが狙いだったとコメント。

 米音楽誌ビルボード(Billboard)に対し、「クールな曲を作り、楽しくやりながらどんちゃん騒ぎをする人間は大勢いるが、こうした現実の問題…大統領というピエロを取り上げる人間は一人もいないと思う」と語っている。(c)AFP