【3月15日 AFP】シリアで2011年に内戦が始まって以後、「戦争犯罪行為」によって殺害された医療従事者が800人余りに上るとの調査報告を専門家チームがまとめ、15日に英医学専門誌ランセット(Lancet)に発表した。主に政府側部隊が行った病院への爆撃、銃撃、拷問、処刑で犠牲になった。チームは、シリア政府と同盟国ロシアが医療制度の破壊を戦争の武器にしていると非難している。

 調査にはレバノンの首都ベイルート(Beirut)や米英にある大学、「シリア系米国人医療協会(SAMS)」など非政府組織(NGO)の専門家が参加した。集めたデータから、2011年3月から2016年9月までに医師247人、看護師176人を含む782人の医療従事者が殺害されたことが明らかになった。

 2016年9月以降、さらに少なくとも32人が死亡。「6年に及ぶ紛争中の戦争犯罪行為によって殺害された人は、合計で814人に達した」としている。死者数は少なく見積もられている可能性が高いという。

 医療施設に対する攻撃の94%は、シリア政府またはロシアなど同盟を組む国・勢力によるものだった。

 6年に及ぶシリア内戦では少なくとも32万人が死亡し、おびただしい数の人が避難を余儀なくされている。

 専門家らは、シリア政府が医療従事者を戦略として標的にしていることがうかがえるとし、その規模はこれまでの戦争で前例がないものだと指摘している。(c)AFP/Mariëtte Le Roux