【3月15日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米政権が中央情報局(CIA)に対して、中東の過激派を標的に無人機(ドローン)による攻撃を実施する権限を新たに与えていたことが分かった。米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)が14日報じた。シリアで先月にあった国際テロ組織「アルカイダ(Al-Qaeda)」の幹部殺害は、CIAがこの権限を行使して行ったとみられるという。

 バラク・オバマ(Barack Obama)前政権は準軍事的な空爆に関して、CIAの役割を制限して国防総省の任務としていた。ドローンによる空爆では、CIAからの情報を活用して国防総省が実際の攻撃を行うという協調した方法にこだわっていた。トランプ政権の措置は、こうした政策からの転換を意味するものだ。

 WSJによるとCIAは先月、新権限を初めて行使。シリアで空爆を実施し、アルカイダで指導的立場にあったアブ・カイル・マスリ(Abu Khayr al-Masri)容疑者を殺害したもようだ。

 米当局はこれまでこの空爆について確認していないが、アルカイダはシリアでの「十字軍の無人機攻撃」でマスリ容疑者が死亡したと発表している。

 国防総省は通常、同省が行った攻撃については詳しい説明を行うが、マスリ容疑者の殺害については一切言及していない。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)も今週、民間人の犠牲を最低限に抑えることを目指すオバマ前政権の規定について、トランプ政権が緩和に乗り出したと伝えている。

 NYTによるとトランプ大統領は既に、イエメンの一部を「活発な敵対活動」の地域に指定する要請を承認したという。同地域での攻撃には、米政府との調整が少なくて済むという規定がある。

 これを受けてイエメンで1月29日に特殊作戦が実行されたが、結果は失敗。米海軍特殊部隊「シールズ(SEALs)」の隊員1人と、女性や子どもを含む複数の民間人が犠牲になった。

 トランプ氏はソマリアに関する一時的な規定緩和の要請についても検討しているという。(c)AFP