【3月14日 AFPBB News】東京都中野区の閑静な住宅街に、異彩を放つコンクリート建造物がある。実は、800年の歴史を持つ山梨県南部町の八津御嶽神社(Yatsumitake Shirine)の東京分社。建て替えから20年を経て、開かれた神社として地域の人々に親しまれている。

 犬の散歩、ジョギングなど、思い思いに過ごす人々が神田川沿いの遊歩道を行き交う。中には、隣接する小さな社に手を合わせたり、入り口前の二宮金次郎像を撫でたりする人も。この近未来的な神社は、1998年に神田川の護岸工事にともない建て替えを余儀なくされ、教会などを多く手掛けた建築家長島孝一(Koichi Nagashima)さんによって設計された。宮司の山本行徳(Yukinori Yamamoto)さん(74)によると、建物全体で鳥居を表現したという。

 さらに、建物が入りにくいという印象を払拭(ふっしょく)し、地域とのふれあいを促すため、5年前から月に1回、落語家や講談師を招き寄席を開催。そのほか、写真展や山本宮司自らギター教室を主宰するなど活動の幅を広げている。毎月寄席を見に来ているという目黒区在住の会社員、山岡るみ子(Rumiko Yamaoka)さん(64)は、「神社の雰囲気がいいし、清潔感がある。何より噺家(はなしか)の近くで聞ける」と口元をほころばせていた。(c)AFPBB News