【3月14日 AFP】オーストラリア北部のカーペンタリア湾(Gulf of Carpentaria)で昨年、およそ7400ヘクタールに及ぶマングローブ林が枯れて死んだことが分かった。地元大学の研究者らが14日、発表した。気候が関連したマングローブ林の枯死(こし)としては記録に残っているなかで最大規模だという。

 豪ジェームズ・クック大学(James Cook University)の研究者らは、半乾燥地帯のカーペンタリア湾で航空機と衛星を使って上空からの調査を実施。海岸沿いの1000キロにわたって約7400ヘクタールのマングローブ林が、木が死ぬか葉を失うかする「立ち枯れ」状態になっていることを確認した。

 その後、気象や気候の記録の分析を行い、原因が干ばつであるとの結論に達したという。

 世界的に有名なマングローブ生態学者である同大のノーム・デューク(Norm Duke)氏は、今回の大規模な立ち枯れについて3つの要因を挙げる。

 一つ目は、2011年から沿岸部で雨量が平均を下回り、2015~2016年は雨不足が特に深刻だったこと。二つ目は、一帯の気温が記録的な水準に達したこと。そして三つめの要因は、特に強いエルニーニョ(El Nino)現象が発生した際に海面が約20センチ低下し、一部のマングローブ林が離水してしまったことだ。

 デューク氏は、こうした要因が重なって、気候に関連したマングローブ林の立ち枯れとしては過去最悪の例になったと指摘。「基本的に、干ばつによって死んだということだ」と述べている。

 マングローブは生態学的に重要な役割を果たしている。陸地から流れ込む水を受け止め、フィルターのような働きをして海藻やサンゴを保護するほか、魚の繁殖地にもなり、さらに大気中の二酸化酸素(CO2)も大量に吸収している。

 世界全体のマングローブのうち約7%がオーストラリアにある。(c)AFP