【3月14日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は1月の就任演説で一見、分かりやすい公約を掲げた。「われわれは2つのシンプルなルールに従う。米国製品を買い、米国人を雇え」

 トランプ氏は大統領としての地位を利用して、米国の消費者向けの商品を国外の労働力を使って製造している国内外の企業を非難している。しかし、AFPが調査した米税関当局の船荷証券の記録によれば、長女イヴァンカ(Ivanka Trump)さんが手掛けるファッションブランドの商品は今も次々と輸入され続けている。

 当局の記録によれば、トランプ氏が昨年11月8日の大統領選で勝利してから今年の2月26日までに、イヴァンカさんのブランドの貨物は少なくとも82回、米国の税関を通っている。平日にほぼ1回の頻度だ。その貨物の中には、ポリエステル製の女性用ブラウス2トン以上、牛革の財布1600個、中国製の靴23トンなどが含まれる。

 これらの商品はイヴァンカさんのブランドとライセンス契約している米企業3社──アパレルメーカーのG-III(ジー・スリー)、バッグメーカーのモンダーニ(Mondani)、靴メーカーのマーク・フィッシャー・フットウェア(Marc Fisher Footwear)が中国で製造したものだ。

 イヴァンカさんのブランドは、米高級百貨店ノードストローム(Nordstrom)が2月に売り上げ不振を理由に同ブランドの取り扱いを中止すると発表して以来、厳しい目にさらされている。

 反トランプ運動を行う政治資金団体(スーパーPAC)「アワ・プリンシプル・PAC(Our Principles PAC)」が昨年調査した米国の輸入データによれば、過去10年間で中国と香港から「トランプ」ブランドの製品の貨物が出荷された回数は1200を超える。

 トランプ氏は大統領選期間中、中国で製造された靴やネクタイ、シャツなどに「トランプ」の名前を使用するライセンス契約を賢いビジネスだと擁護していた。